さて、今日は本の紹介です。とはいえ、世の中の皆様のほとんどが一生のあいだにまずかかわることのない本です(笑)
世の中に奇書・珍本と言われるものは数あれど、その多くはいわゆる〈B級〉であり、下世話なものも少なくありません。歴史的・文化的に重要な書籍は貴重書や稀覯本とよばれ、まったく扱いが異なります(笑)
しかし、 この奇書・珍本のたぐいにたまらない魅力を感じる人たちがいるのもまた然りで、近代のとくに空想科学小説(いわゆるSFね)や少年小説にはあの人がこんな荒唐無稽な小説を!?とか、いくらなんでもそこまで書くか?というものも少なくないようです。
その道には横田順彌先生の〈日本SFこてん古典〉1〜3というそれこそ古典的名著がありますが、いかんせん 世に出回らないからこそ奇書・珍本なのであり、いまだその全貌は解明されておりません(笑)
しかし、数多い古書コレクターのなかでもそっち(笑)に軸足をおいて活躍しておられる方もおいでになり、今日紹介する北原尚彦さんはその筆頭とも言えるでしょう!そして、今回ご紹介するのはそのものズバリ!
〈SF奇書天外〉
では、東京創元社のHPから引用してみます。
戦後のSF史・古書史に燦然と輝く(あるいは、ほとんど知られることのなかった)綺羅星のごとき奇書、珍本。マニアたちのあいだで密かに語り伝えられる、
奇妙奇天烈、摩訶不思議な小説を読みに読んだ、その道の第一人者が網羅して紹介する。ポルノSFから自費出版書籍まで、カラーを含む図版300点近くを収
録。すべてのSFファン・古書ファンに贈る必携の1冊。
ふむふむ。
>では、同じく目次の一部を
一九四〇年代後半~五〇年代
コレクター垂涎の『醗酵人間』
あっと驚く翻案童話『龍宮城』
エーテルの風が吹く『科学童話 電気の国をゆく』
親類が書いた(?)『空とぶ怪艇』
怪しい奇想短篇集『魂の飛ぶ男』
遂に巡り会った『宇宙探偵 星に消えた子』
怪奇実話作家の書いた『遊星人現わる』
これが推理小説? 『淫神邪教事件』
《星雲》生みの親の『秀吉になった男』
日本だって革命が起こるぞ! 『赤い太陽』
電力界ファンタジイ『電力の鬼』
火星推進機はどこへ? 『バラモンの洞窟』ほか諸々
一九六〇年代
ゲルマン神話+世界史+α=『落・奈落』
地方出版のSF童話集『昆虫人間の朝』
ベストセラー推理作家のSF『太陽と砂』&『おお21世紀』
ノストラダムス作家のスパイSF『危機の数は13』
後の直木賞作家のエロスパイ小説〈P07号〉シリーズ
ホントに翻訳? ポルノSF『性にとらわれて』
SFセミナー明けの大発見『エミトン』
復刊はまず不可能? 『キチガイ同盟』
森奈津子さん好み(?)のSMSF『不適応者の群れ』
大ハズレな未来予測たっぷり『1980年の恋人』
作者は実は×××と同一人物の『改造人間』
しっかり時間SFしている金属啓蒙書『アルミニウム物語』
マンジュウ本の幻想短篇集『出発してしまったA’』
1970年代以降の目次は引用を省略しましたが、どうです? ワクワクしてきませんか?(笑)しかし、目から鱗だったのは奇書・珍本は現在も出版されているということでしょうか。トンデモ本と言ってしまえばそれまでですが…しかし現在発掘されているそうした奇書・珍本は、出版当時はどういった人たちがどういった想いで読んでいたんでしょうね?非情に気になります。
ま、古書市や古書祭りに行けない、地方在住の極小資本しかもたない我々のような古本好きは、こういった本を読んで古書のロマンに浸るとしましょう♪
本日の引用元<http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488015244>
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